2021.11.22

生地と糸について その2

RASSEMBLE Blog

前回書いた糸についてのブログの続きを書かせて頂きます。

前回はどのような工程で繊維が糸になり、糸が生地になるかを書きましたが、今回は生地の織りの種類と染めについてのお話です。

生地は経糸と緯糸を織って生地にしていきますが、織り方は大まかに分けて三種類あります。これを生地の三原組織と呼び、平織り・綾織り・朱子(しゅす)織りの三つの織り組織の事を指します。

平織りは最も基本となる織り物で経糸と緯糸を一本ずつ交互に交差させて織っていく生地です。代表的なものにシャツによく使われるブロード、オックスフォードなどがあります。組織図で表すと以下のような図になります。

経糸(白)と緯糸(黒)が交互に交差しているのが分かるかと思います。

次に綾織りですが、別名ツイルとも呼びます。経糸と緯糸でそれぞれ3本以上とって織られており、斜めの線が浮き出るような組織の生地です。デニムやチノが代表的な生地で、他ではギャバジンなどもこの綾織りの生地です。組織図は以下のようになります。

白の経糸が斜めに浮き出て見えるのが特徴です。平織に比べると密度があり皺になりにくいですが摩擦に弱いという点があります。ちなみにデニムの色落ちはこの摩擦によって出るんですね。

最後に朱子織りです。一番聞き慣れない織りかもしれませんが、別名はサテンとも呼びます(こっちの方が聞き慣れていますね)。朱子織りは経緯の糸をそれぞれ5本以上とって織るので糸が表面に長く出ています。光沢があり滑らかな触り心地が特徴の織り方です。

組織図を見ると白い経糸が長く出ているのが分かるかと思います。

ちなみに古着の軍パンによく使われているバックサテンという生地はこのサテン織りの生地の裏側を使っているのでバック(裏)サテンと言います。サテン織りの特徴でもある滑らかな部分が肌に当たる裏側に来るので着心地もいいですね。

簡単ですが、代表的な生地の織りを紹介させていただきました。

次に染めについてですが、これはご存知の方も多いと思いますが先染めと後染めに別れます。先染めとはその名の通りで生地なる前の糸の段階で染めている染め方です。糸の段階で染めていると色々な色の糸を組みわせて生地を織ることができるので、チェックやストライプなどの柄物の生地を織ることができます。

この先染めにも実は種類があって、糸の段階で染める糸染めと、糸にする前段階の繊維の束の状態で染めるトップ染めがあります。トップ染めは繊維の束の状態で染めるので、染めていない他の繊維や別のトップ染めの繊維と絡めて糸を作ることができるので、深みを出したり、奥行きがあるような様々な色味の糸を作ることができます。

後染めは上記とは反対で生地になった後に染めます。プリント柄などはこの後染めでなければ作れない生地ですね。

最後に製品染め(ガーメントダイ)という手法もあり、これはシャツやパンツといった一つのアイテムに完成してから染める方法です。先染めにはない独特の色ムラ、一点一点違う風合いを楽しめることが特徴です。

何故、前回と今回でこんなブログを書いたかと言うと一つはオンラインサイトや洋服を紹介する時の説明に専門用語を使ったとして、それらがお客様に伝わっているのかが疑問だったからです。

メーカー様から頂いた資料をそのままコピーペーストしている取り扱い店舗も多く、自分たちが理解していてもそれが購入する側のお客様に伝わっていなかったら全く意味がないからです。

もう一つの理由は、以前他の洋服屋に買い物に行った時に接客をしてくれたスタッフが生地の事や洋服の事をあまりにも知らなすぎたからです。

ここのブログを読んでいる中に洋服屋になりたての方、これから洋服屋を目指している方がいれば、少しでも参考になればいいなと思い書きました。

知識の押し売りをするつもりは全くなくて、洋服を楽しむ上でちょっとした専門知識を身につける事で視野が広がり、より洋服を楽しんでいただければ嬉しく思います。